アイドルグループのAKB48が全国的に人気を集めている。 そのグループのセンターで歌う歌手を決めるのは 「総選挙」 と呼ばれるファン投票。 シングルCDの購入者らに投票者としての権利が与えられるという方法。 批判もあるが、 去る6日に行われた総選挙はすごい盛り上がりをみせた。 NHKのニュースでも伝えられるほどの社会現象にもなった。
 なぜ、 若者たちをそこまで魅了するのか。 一言でいえば、 「会いに行ける身近なアイドル」 ということなのだろう。 よく言われることだが、 クラスで5、 6番目にかわいい女の子を集めていることがファンの心をひきつけているという。 高嶺の花ではないのだ。 握手会も各地で開催され、 間近で同じ雰囲気を感じられるところもウケている。 いわば 「住民目線のアイドル」 といえる。
 逆に政治には若者の関心は低い。 仮に地方や国政の選挙にAKBの投票資格を得るような出費が必要だとしたら、 投票率は果たしてどうなるのだろうか。 おそらく極端に低い数字となるに違いない。 AKBのファンは 「自分の票で好きなアイドルを少しでも上位にさせたい」 と支持する気持ちがあるのに対し、 地方や国政選挙の有権者には 「誰が選ばれても同じ」 という感覚が強いからだ。 本来、 選挙には 「この人に入れたい」 という意思があるのが望ましいが、 実際は 「誰が当選しても同じ」 と考える有権者が多いのが現状だ。
 最近では政治でも 「住民目線の改革」 などという言葉がよく使われ始めた。 若者が関心を持つという意味でも身近な政治が必要で、会いに行ける政治家が得票を集めるのかもしれない。  (雄)