県下消防救助技術大会が8日、 和歌山市の消防学校で開催され、 ロープブリッジ渡過に出場した日高広域消防中津出張所の吉田一也消防士(25)=美浜町=が見事初優勝。 4度目の挑戦で念願の全国大会出場切符を獲得した。 同消防からの全国出場は16年ぶり6人目となる。 一発勝負の本番では自己ベストを更新する18秒20の好タイムでライバルをわずかに上回り、 僅差の2位だった前回 (2年前) の雪辱を果たした。
 実際の現場で実践されている救助技術の向上を目指して毎年開催されているが、 昨年は東日本大震災の発生を受けて中止されており、 ことしは2年ぶりに開かれた。
 ロープブリッジ渡過は、 水平に張ったロープの上を、 20㍍地点までは腹ばいになって腕の力で進み (セイラー渡過)、 折り返してからはぶら下がる格好 (モンキー渡過) でゴールまでのタイムを競う競技。 県内各消防署から20人が参加した。 一人ずつ順番に競技し、 全員終了してからタイムが発表される形式で、 吉田選手は有力な数人のライバルがすでに競技を終えたあとの16番目に登場。 「優勝候補の一人だった選手の競技を見て、 正直これは速いと思いましたが、 『絶対に勝ってやる』 と逆に燃えました」 とモチベーションを高め、 小雨のぱらつく中もなんの、 2カ月余りに及ぶ訓練の成果を見事に発揮してゴール。 「勝てたかどうかは微妙で、 本当に分かりませんでした」 と少し不安もあったが、 成績表が張り出されると2位の選手を0・2秒上回っており、 思わず 「よしっ」 と声が出るほどうれしかったという。
 消防隊員になって5年、 救助大会は4度目の挑戦で、 「前回はあと一歩で全国に届かなかったので、 悔しさをバネに練習に励みました。 自己ベストを0・1秒更新して優勝できてうれしい」 と笑顔。 8月7日に東京で開催される全国大会には 「まだ2カ月あるので、 走り込みで体重を1㌔ほど減量して臨みたい。 県大会では得意のセイラーで少し納得できない部分があったので、 まだタイムを縮められる余地はあると思う。 自己ベストを更新して一つでも上を目指したい」 と張り切っている。 佐々木一消防長は 「16年ぶりの快挙。 日高広域消防の名を全国に広められるように頑張ってほしい」 とエールを送っている。
 同大会には同消防から2競技に8人、 市消防から1競技に1組が出場。 ロープブリッジ渡過で芦硲智浩消防士と庄司朋也消防士、 はしご登はんで山本昌史消防士 (いずれも広域消防) が入賞した。