県は、 みなべ町東神野川地内の島ノ瀬ダムに小水力発電 (2000㌔㍗以下)の設置を進めており、 順調にいけば8月から稼働となる。 常時ダムから放流している水を利用。 発電した分は電力会社に売電し、 年間2600万円を見込んでいる。 県農業農村整備課は 「南紀用水土地改良区のスプリンクラーにかかる電気代に充て、 農家の負担軽減につなげたい」 と話している。
 島ノ瀬ダムは国営事業で、 平成3年に農業用ダムとして建設。 堤高は44・5㍍、 堤長は131・5㍍。 総貯水量は307万立方㍍となっている。
 発電施設の工事は昨年8月に機器の発注を行い、 現在はダム左岸側の放水管 (最大で1秒間0・5㌧) に発電機を取り付けている。 放流水の落差は34㍍。 発電量は毎時140㌔㍗、 年間約75万㌔㍗となる。 約180世帯の家庭に供給される電力に相当するという。 順調に進めば7月末までに工事が完成し、 再生可能エネルギー関連の法案の手続きが完了するとみられる8月ごろから稼働となる。 1㌔㍗アワー当たり35・7円で買い上げられる見込みで、 年間の売電額は2600万円になる。 受益農家の負担で行っているスプリンクラー用水を引き揚げるポンプアップの電力費などに充てる。 事業費は1億4000万円を見込んでいる。
 平成21年度の農林水産省国庫補助事業の改正で、 発電設備を持たずに建設されたダムにも単独で発電設備を取り付けることができるようになったため計画した。 担当の県農業農村整備課は 「水力発電は安定的で、 二酸化炭素の削減につながり、 未利用のエネルギー活用にもなる」 と話している。 完成後の管理は南紀用水土地改良区が行う方針。