春季近畿地区高校野球大会県予選で、 紀央館が見事ベスト4入り。延長11回までもつれ込んだ準々決勝をカメラ越しに観戦し、 好勝負に手に汗握った。
 前半と後半でこれほど対照的な試合も珍しい。 だから野球は面白い。 準々決勝は、 そんな展開だった。 6回までは完全に耐久のペース。 3回に3長短打を集められて3失点、 さらに5回にも3単打で1点を加えられた。 相手投手は速球の切れがよく、 打線は4回1死満塁の好機も併殺で逸す。 ワンサイドゲームにもなりかねない雰囲気だったが、 そこから巻き返した。 7回に長打1本で1点反撃、 8回には2四球からクリーンアップの連続長短打で一気に追いついた。 試合の流れを完全に引き寄せると、 延長11回に4長短打の猛攻で一挙5得点し、 9―5で勝利した。
 紀央館は3回戦も1イニングで11得点するなど打線が充実。 この日も上位から下位まで鋭いスイングで、 つながりがあった。 一方、 守備ではエース左腕が序盤こそ打ち込まれたものの尻上がりに調子を上げ、 6回以降はまるで別人の投球。明らかに直球の球威が増し、 8回2死まで0だった三振をそれ以降の3回3分の1で5つ奪うなどし、 打線の爆発を呼び込んだ。
 近年、地元勢は甲子園から遠ざかっているが、センバツ出場3回 (旧御坊商工) の古豪が復活を告げる活躍を見せてくれたのはうれしい限りだ。 春季県予選の準決勝では智弁和歌山と対戦することになっており、この一戦が夏の和歌山大会に向けて試金石になるだろう。 甲子園上位常連校と好勝負ができれば大きな弾みがつくはず。すでに夏のシード権は獲得しているが、ぜひ勝って勢いを増してもらいたい。   (賀)