深刻な看護師不足の解消へ向け、日高病院に看護師養成所開設を目指している同準備委員会は2日までに、開校への大きな課題の一つだった実習施設の確保にめどがついたと発表した。養成所では、必須カリキュラムとして保育所や老人福祉施設などでの実習が必要となるが、4月末までに御坊保健所管内の49施設が学生の受け入れを内諾。専任教員の確保に続きまた一つのネック解消で、26年4月開校に大きく前進した。
 看護師養成所では、 講義だけでなく、 小児看護学、 在宅看護学、 精神看護学など各教科ごとに現場での実習が必要。 そこで準備委員会では御坊保健所の野尻孝子所長らが中心となって、 管内の幼稚園や保育所、 老人福祉施設、 在宅介護センターなどに協力を要請。 4月末までに49施設から受け入れ可能との了承を得た。 決められた実習をクリアするのに十分な数で、 今後は設備の適性などを検討して実際に受け入れてもらう施設を選定していく。 野尻所長は 「養成所の建設費用、 場所、 専任教員、 そして実習施設の確保が大きな課題だったが、 これですべてクリアできるめどがついた。 看護師不足は地域全体の問題という各施設の意識が高まっている表れで、 協力していただいて本当にありがたい」 と感謝している。
 今後は、 25年1月末までに国に提出しなければならない看護師養成所設置計画書の作成を急ピッチで進めていく。 このほど日高病院内に開設した設立準備室 (室長・森脇宏日高病院名誉院長) が中心となって、 計画書に必要な学則や学校の名前、 教材となる器具や模型、 授業の具体的な内容について煮詰めていく。
 施設は12月ごろから現在の診療棟を取り壊し、 来年4月ごろから3~4階建てを新築する。 学生は40人で、 地元の新卒者15人程度、 社会人も5人程度の枠を取り、 残り20人程度を一般公募とする計画。 野尻所長は 「新しい施設、 安い授業料、 実習を近くの施設で受けられるなどのメリットをPRして、 学生の確保に努めていきたい」 と話している。