植物が育つには自然の力が必要だ。とりわけ都心部から離れた開発があまり進んでいない場所で育まれる農作物は、特においしそうに思える。例えば北海道のジャガイモを例に挙げると、広大な大地で豊かな大自然の中で成長したことが想像でき、それだけでそのジャガイモの安全性や味が保証されている面もある。これが東京や大阪の大都心で栽培されたジャガイモとなると、「ちょっとどうだろう」と考えてしまうのではなかろうか▼先日、環境省が平成22年度の水質測定調査結果を発表し、みなべ町を流れる2級河川の古川(南部川)が全国で調査した約2900カ所の水域の中でワースト2にランキングされた。汚れた水の指標とされる生物化学的酸素要求量(BOD)の数値が基準で、古川は流れが緩やかなうえ水量が少ないことが浄化能力を低下させているのだろう。平成18年にはワースト1になったこともあり、不名誉な記録は返上されないままだ▼「全国でワースト2」ということだけを聞くと、「ドブ川のようにすごく汚い川なんだろう」と思う人も多いだろう。しかし別に悪臭もしないし、実際にコイなどの魚がたくさん泳いでいる。きれいとは言いがたいが、「これでワースト2になる汚さなのか」と首をかしげてしまう思いもある▼全国的には古川を見たことのない人ばかり。その人たちに「ブランドとなっている南高梅の産地にそんな汚い川が流れているのか」と思われてしまうかもしれない。それは日本一の梅の産地にとって大きなイメージダウン。ブランド力を高めるためにも不名誉な記録を返上し、ホタルが飛び交うようなきれいな河川に変身させよう。    (雄)