10月末に行われた筆者が氏子の美浜町御崎神社の和田祭。ことしは組の役だったため、だんじりや四ツ太鼓など組の部隊から外れ、宮内やお旅所での神事と獅子舞奉納の場にも参列。何十年も参加しているのに初めて見たり知ったことも多く、個人的には悪天候に伴い社務所の中で行った獅子舞を見れたことが、レアで感激している。
 そんな中、日高川町寒川神社で3日、寒川祭が行われ、日高地方秋祭りのラストを飾った。祭礼は4人立ちの獅子舞や花幟など有名で、禁酒の祭りとしても知られる。筆者は毎年取材で訪れるが、最後まで見たのは今回が初めて。ようやく本当の醍醐味に触れた気がする。神賑行事の目玉の獅子舞は珍しい江戸神楽の一つで、じっくり見てみると知らないことばかり。舞獅子にはじまり道中神楽、長刀(なぎなた)の舞、長老の舞、剣の舞、鈴神楽といったさまざまな舞いがあり、それぞれのいわれや意味を知って見ると味わい深い。来年は日高川町の他の秋祭りも、目を奪われがちな余興だけでなく、知識をもった上で神事や奉納等も見物するつもり。
 来月11日、御崎神社では師走恒例の火たき祭が行われる。昔、不作の年の瀬に村の代表が献米の減免を訴えに行き、その帰りを村人が火をたいて待ったとされる伝統行事。4組の獅子舞が奉納されるほか、煮えたぎる釜には米と酒が入れられ、見物人には白粉のもちが振る舞われる。昨年初めて見物したが、待つ間緊張したであろう当時とは違ってほのぼのとした雰囲気だ。ことしから慣習だった15日に代わり日曜に変更。見物しやすくなったので、行事の醍醐味に触れるとともに、師走の忙しさを忘れるほっとしたひとときに一度足を運んでいただければと期待している。 (昌)