美浜町は20・21の両日、地域住民の意見を防災対策に反映させることを目的に、町内12地区の自主防災組織代表らとの意見交換会を開いた。東日本大震災、紀伊半島豪雨と相次ぐ大規模災害に住民の危機意識が高まるなか、上田井地区からは従来の避難先の見直し、和田東地区からは西山への避難路、ひまわりこども園を津波からの避難拠点として整備することなどを求める声が出された。
 海に近い場所に住宅が密集する美浜町は、 大地震の際の津波への備えが重要。 東日本大震災後は住民の間でも想定外の津波に対する危機意識が高まっており、 従来の避難路と避難先の見直し、 整備を求める声が上がっている。 来年度の予算編成でも防災は柱の一つであり、 住民の声を施策に反映させるため、 各地区自主防災組織の代表らから直接、 聞き取りを行った。
 現在の国と県の防災計画に基づく大地震の想定はマグニチュードが8・6、 美浜町には地震から29分後に最大6・6㍍の津波が押し寄せることになっている。 これに合わせた従来の計画では、 西川に沿って南北に長い上田井地区は、 北側がホテルグリーンヒル美浜、 中間がオークワロマンシティ、 南側が松原小学校と3カ所の第一避難所に分散することになっていたが、 東日本の震災後、 住民から 「いまは新しい広い道もできたので、 北側と中間の人は2カ所の民間施設ではなく、 車で一気に入山まで逃げた方がいいのでは」 という声が上がり、 入山地区との調整を前提に、 区内では一定の了解も得たという。
 和田東地区は従来、 地域の一次避難先としていたひまわりこども園が巨大津波には耐えられないという判断から、 役場、 福祉センター、 和田小の3カ所に変更したが、 それぞれの屋上への避難は人数的に限界があり、 強度に対する不安もあることから、 「小さな子どもたちが手をつないで役場や小学校まで逃げるのは時間的に不安がある。 やはりこども園の場所に地域の拠点となる避難施設を整備してもらえれば、 園児の保護者も周辺住民、 お年寄りも安心できる」 という意見も出された。
 ほか、 和田東地区からは西山への避難路と避難先の整備、 西川と和田川の氾濫防止策なども要望として出され、 町の担当課職員は 「西山への避難路や避難先の整備、 こども園の増改築は土地の問題や予算面からまだ先の話となるが、 現在ある施設を活用しながらという形の中で、 短期的に見直し、 整備できるものはできるだけ早く対応したい」 と話している。 今後、 和歌山病院や企業など事業所の関係者との意見交換も行う。