台風12号で大きな被害を受けた日高川町の玉置俊久町長は17日、 議会からの災害復興に関する基金創設の要望を受け、「前向きに検討する」と意欲を見せた。 財源は財政調整基金の取り崩しで、議会では小規模農地や商業施設の復旧など国、県の補助対象にならない被災者らにも支援の手を差し伸べようと基金創設を検討してきた。創設には条例改正が必要で、制度設計や基金の額など詳細は、 24日に開く台風12号災害の検証と復興に関する調査特別委員会で検討する。
 議会が創設を要望したのは「台風12号災害復興のための基金(仮称)」。農地や農業用施設では国の補助は1カ所の工事費用が40万円以上を対象とするため、それ以下の小規模の災害復旧は補助を受けられない。生活再生支援も住宅が大規模半壊以上の被災者が対象で、床上・床下などの浸水被害や商業用施設被害などの人には適用されない状況。
 そんな中、議会では一刻も早い復興を目指して台風特別委員会などで各種施策を検討。これまでの会議で国や県の支援・補助を受けられない被災者らの支援を中心に、 町単独の補助事業の財源を確保しようと基金創設の話がまとまった。財源となる現在の財政調整基金は21億7846万1000円。基金を創設せず、 財政調整基金を切り崩して補正予算に組み入れる方法などもあるが、使途が明確で被災者に安心感を与えることができるなどの理由で基金創設が最善の策と判断した。
 この日、熊谷重美議長と台風特別委員会の吉本賢次委員長が玉置町長に基金創設を要望するとともに回答を求め、玉置町長が答えた。本紙に対し、玉置町長は「住民の皆さんが一日も早く元の暮らしができるよう、いろんなことに取り組んでいく。実務はこれからだが、皆さんに納得、理解していただけるような制度になれば」と話している。