日高川町寒川を舞台に昭和63年秋から平成元年春にかけて放送されたNHKテレビ小説「純ちゃんの応援歌」。筆者は番組が放送されていた高校生のとき、初めて寒川を訪れたが、戦後の物語の舞台となった家並みは二十数年経っても少しも変わらない。タイムスリップしたかのよう。
 筆者のノスタルジックな気分をよそに過疎問題が深刻。そんな中、過疎集落の再生、活性化を目指す県の「わかやま版・過疎集落支援総合対策」で寒川は過疎生活圏に設定され、県補助を受けて事業展開できるようになった。会議では住民は効果的な事業にしようと活発意見。直面する問題は深刻で愛する地域を何とかしたいという思いと願いがヒシヒシと伝わってきた。
 最終的に「シイタケを核とした産業振興で未来につなぐ集落づくり」をテーマに13の事業を計画。その中の一つ、「そうがわ茶屋」が11日にオープンした。荒天でホタル祭は中止となったが、旅館の一角に設けられた店内は地元客を中心に大盛況。コーヒー、紅茶など飲み物を手に和気あいあい、期待通りの憩いの場となった。筆者にとっては情緒あふれる家並みと店内から癒やしのひととき。英気を養い、活力をいただいた。今後は食べ物も提供するほか、将来的には地域の食材を使ったメニュー開発にも取り組んでいくらしく、地域活性化や住民交流などで効果は大きそう。さて残りの事業であるが、目玉とするシイタケ栽培のホダ場整備をはじめ、寒川茶の生産拡大、モンキードッグによる獣害対策、寒川塾での子ども教育など住民の願いが詰まった事業が目白押し。地域住民、行政、団体がスクラムを組んでの過疎対策。問題解決、現状打開につながることを祈り、激励しながら見守っていきたい。  (昌)