先日、農家の友人にウスイエンドウをもらった。見た目が悪いなどの理由で出荷できない、いわゆる「ハネ」といわれるものだが、実を取り出せば市場に出回っているものとなんら変わらず、おいしくいただいた。よくいただく印南町特産のミニトマトのハネも味は出荷できるものと何も変わらず抜群においしい。筆者の実家で栽培しているスイカもしかり。形が悪くて出荷できないものでも、切って食べれば、形のいいものと味は何も変わらない。とはいえ、消費者の意識が変わらなければこの現状は何も変わらない。加えて、なんとも贅沢な悩みだとも思う。

 イスラエルとハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区では、深刻な食料不足により、子どもが飢餓で死亡するケースが増えているというニュースが連日放送されている。栄養失調の子どもの痛々しい姿を見ると胸が締め付けられる。ガザ地区だけでなく、世界では紛争や内戦等で飢餓に苦しんでいる人は少なくない。日本でも貧困でお腹をすかせた子どもたちはいる。そんな中で見た目が悪いだので廃棄しなければならない食が依然としてたくさんあるのだ。もったいないの精神はどこへいったのか。

 消費期限が過ぎて廃棄されたり、家庭や飲食店での食べ残しなど、まだ食べられるのに捨てられている食品は、日本で年間643万㌧という。日本国民が毎日茶碗一杯分を捨てているのに相当する量。瞬間冷凍保存して飢餓に苦しんでいる子供たちに届けることはできないものか。大量に廃棄される食料と、栄養失調に苦しむ子供たち。政治家でも科学者でも誰でもいい、マッチングできる技術や方法を開発してほしい。(片)