県は県内全小学校区への子ども食堂設置に向け、日高地方を重点地域に設定し、市町へのヒアリングや食堂運営主体の発掘に取り組んでいる。現在、子ども食堂は御坊市内で3カ所オープンしているが、日高郡部では設置が進んでおらず、県内のモデル地域として行政や地域住民の一層の奮起が期待されている。

 子ども食堂は子どもや地域住民らに無料や低額で食事を提供する場。岸本周平知事は今年度から3カ年計画で、新たに約150カ所の子ども食堂をオープンし、県内200ある全小学校区に1つずつの環境を目指すことを公約に掲げている。昨年7月、子ども食堂の設備購入や改修などに対する県補助金の割合を、これまでの2分の1から10分の10(上限あり)に引き上げた。9月には認定NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ(東京都渋谷区)の湯浅誠理事長を筆頭にしたワーキングチームを作り、今月29日には和歌山市内で、市町村長を対象にした子ども食堂のトップセミナーも企画している。

 昨年11月末現在、子ども食堂は県内で57カ所、うち御坊市内は湯川町財部の御坊こども食堂と薗の道の子ども食堂(天理教日高分教会内)があり、昨年12月に薗の市民食堂「おかげさま」もオープン。美浜町の美浜子ども食堂は2022年2月から休止中となっている。

 日高地方の小学校区は御坊6、美浜2、日高2、由良1、印南4、みなべ5、日高川9の計29校区あり、県子ども未来課では日高地方の小学校区が比較的少なく、地域の熱意もあることから先行的に取り組みを展開。昨年11月には各市町で子ども食堂に対する考え方、子ども食堂の担い手となりうる業界やキーパーソンの存在についてヒアリングし、今後関係団体などへの働きかけを行って、食堂の立ち上げにつなげていく。来年度からは支援講座や現地アドバイザー派遣なども予定している。

 岸本知事は会見などの場で「子どもだけにフォーカスした場ではなく、多世代が交流できる場にし、昔あったコミュニティを復活させたい」と話している。