御坊市藤田町北吉田のハス池公園「舞妃蓮の郷」を管理する北吉田蓮の郷メンバーが、ハスを使った草木染めをまちの活性化に生かせないか模索している。蓮の郷は2015年に公園を整備して舞妃蓮を植栽。草木染めに使うのは花托の部分で、花が咲き終わったあと大量に採取でき、乾燥させて保管もできる。

 この取り組みには染織家・紬織の人間国宝志村ふくみさんの孫で、草木染め作家の志村宏さんがバックアップしてくれており、心強い限り。仏教に縁が深く寺に植栽されているハスにはスピリチュアルな魅力があるとし、志村さん自身もハスの染色には興味があったという。染色のためには花托を十分に煮出し、浸す回数などで色合いが微妙に変化するが、少し赤みをさした温かみのあるベージュ色に染まるのが特徴だ。

 ハスを使った染色は全国的にも珍しいが、日高地方には日本一の梅の里で知られるみなべ町に、梅染めという草木染めの一種がある。こちらも薄ピンクの何とも言えないレトロ感が漂う風合いに仕上がり、地元住民でつくる梅染愛好会が観光客らに梅染め体験も実施して、好評となっている。ハスの染色もこういった体験イベントができるようになれば、一層の誘客につながると思うが、蓮の郷の佐竹成公理事長が言うにはそれらを実現していくだけのマンパワーが不足しているという。いくら素晴らしく尊い地域活性化の取り組みでも、それをボランティアで継続していくのは難しく、担い手も集まりにくい。有料の体験イベントをはじめ、生け花用に花托の販売、レンコンを使った土産物開発など、さらに稼ぎを生む仕組みも考えていかなければならないのかもしれない。(吉)