記者をしていると講演会の内容や式典のあいさつなどをメモしなければならないことがある。速記を習っているわけでもなく、ただひたすら早く手帳に書くだけ。元から字が下手なうえに書きなぐるため、後から読めないことも。しかも若い頃はもうちょっとペンの手が早く動いたが、最近は歳のせいか脳で理解しても手が動かない。そんな時に重宝するのがレコーダー。昔は全く使っていなかったが、最近は微妙な言い回しを確認するためにも必ず録音するようにしている。

 実はレコーダーと言っても、専用の機械を使っているわけではなく、携帯電話にレコーダーのアプリをダウンロードして使っている。高性能のものと比べるとそれほどではないのだろうが、十分使えるレベル。そんなアプリだが、最近機種変更した携帯電話に最初からあったレコーダーがかなり使える。録音した音声をボタン一つ、一瞬で文字起こししてくれるのだ。音声だと聞きながら早送りや巻き戻しをして、お目当ての聞きたい部分を探すのにひと苦労するが、文字変換されていれば探す手間もかなり省ける。ただ、内容が正確ではない。例えば知事会見で「紀北、紀中、紀南」と言ったのを、「貴北、忌中、避難」と変換。全てうのみにするのは怖いが、自分が一度じかに聞いた内容であれば、筆者の雑な手帳を見るよりよっぽど信頼できる。

 最近話題の対話型AI「チャットGPT」も同じで、文書作成や情報検索に使えるが、やはりそれをそのまま転用するのは危険。情報技術の進歩でさまざまな便利な機能が出てくるが、あくまで参考程度にしながら、うまく活用することが大切だと思う。(吉)