由良町衣奈のオーガニックはまち養殖場

 回転寿司チェーン大手「くら寿司」を運営するくら寿司株式会社(田中邦彦代表取締役社長)と県が5日、漁業振興や県産品の販売促進などに関する包括連携協定を締結した。同社が由良町衣奈沖の自社養殖場で生産している「オーガニックはまち」の生産拡大を図っていく方針で、地元雇用の創出などにも期待されている。

 オーガニックはまちは、有機水産飼料を使用するなどして育てたハマチ。同社の子会社「KURAおさかなファーム」が2018年から研究を始め、養殖場については由良町衣奈沖が適しているとして、2021年に同社で唯一の自社養殖場として生産を開始。同年、日本で初めて、国際的基準のオーガニック水産物としての認証を取得し、2021年12月に初出荷した。

 オーガニック食品の需要は国内外で高まっており、世界的には10兆円規模、日本国内でもここ10年で約2倍に成長し、由良で養殖したハマチは期間限定商品として全国のくら寿司やスーパーの小売店で販売。いずれも好評で生産高は21年が50㌧、22年が80㌧と増産している。

 今回の協定締結により、県とともに養殖技術の開発について連携し、生産を拡大させていく予定で、23年は100~120㌧の出荷を目指す。由良で育ったオーガニックはまちが全国、世界で食べられるようになる可能性があるほか、生産拡大に伴う地元雇用も期待されている。

 締結式では岸本周平知事が「和歌山で養殖したオーガニックはまちは世界に売り出せる財産ともいえ、一緒に取り組んでいきたい」と期待を寄せ、田中社長は「和歌山は水産物、農産物、観光資源が充実している。和歌山の魅力を発信し、地域活性化につなげていきたい」と協力を約束した。

 包括協定ではこのほか、県産品のプロモーションの実施、県産品の輸出振興、大阪・関西万博での連携、食育、海岸・漁港の保全などが盛り込まれている。