柑橘ソムリエの証明書を手に山本さん

 日高川町三百瀬、山本玲子さん(41)が柑橘に深い知識を持つ柑橘ソムリエ資格を県内で初めて取得し、ミカンなどの魅力を伝える活動に取り組んでいる。柑橘愛好家で組織する「みかんソサエティー和歌山」も立ち上げ、「和歌山県にはミカンをはじめ、おいしい柑橘がたくさんあります。多くの人に知ってもらいたい」と話している。

 柑橘ソムリエは2020年秋、「ワインや野菜のように柑橘にもソムリエがあれば」と、愛媛の柑橘農家の立ち話から発展した民間の制度。試験には柑橘の分類、品種、流通などが出題される学科と味を的確に理解しているかを問う実技がある。合格率は約60%で、現在、国内の資格取得者は101人。

 山本さんは田辺市上秋津出身で、梅と柑橘を栽培している農家に生まれた。幼い頃から柑橘になじみがあったほか、ミカンについての神話や文化人類学などを深く調べるアートプロジェクト「みかんコレクティヴ」に2年前から関わっていることから、インターネットで知った柑橘ソムリエに興味を持ったという。

 ソムリエの試験は今年4月に松山市で受験。2日間の講習を受けたあと、試験までの2週間はテキストを基にみっちりと学習し、見事、合格した。

 すぐに、柑橘が好きな人で組織する団体「みかんソサエティー和歌山」を設立。8月には田辺市でミカンジュースの飲み比べなどを行うイベントを開催し、柑橘のおいしさ、楽しさ、奥深さなどの魅力をアピール。10月13日から15日まで田辺市の秋津野ガルテンで柑橘ソムリエの資格取得に向けた講座を開催し、県内の取得者を増やす活動も行う。

 山本さんは「柑橘は甘いだけでなく、いろんな魅力を持っていることを広め、消費の拡大につなげていきたい」と話している。