梅酢を混ぜた飼料で育てられた紀州うめどり

 養鶏農場の倒産などで生産停止に追い込まれていた県のブランド鶏「紀州うめどり」の本格的な復活を目指して、紀州うめどり・うめたまご協議会のメンバーがさまざまな取り組みを展開中。今年7月まで協議会事務局を担当していた御坊市名屋町、有限会社ナカタクス取締役専務の中田直希さん(47)は、クラウドファンディングで支援を呼びかけている。

 紀州うめどりは県と梅加工業者が2003年に共同開発。南高梅の梅酢を混ぜた飼料を与えることで生まれた安心、安全、栄養価の高い鶏で、コクや適度な弾力があり、臭みがないのが特長。鶏肉コンテストで日本一に輝いたこともある。協議会には現在、みなべ町の株式会社紀州ほそ川、ナカタクスなど県内や奈良県の8社が加盟。

 生産は有田養鶏農業協同組合に委託されていたが、2019年12月に組合の経営破綻で販売停止。関係者が復活を目指して取り組んだがコロナ禍の影響で思うように進まず、昨年暮れにようやく新たに有田川町の養鶏農家が生産を開始し、今年4月から販売再開。しかし、6月の大雨被害で約1万5000羽のヒナを失う災害にも見舞われ、現在は全盛期の約20分の1の生産量しかない。

 幾多の困難を乗り越えながら、復活プロジェクトのPRや新たな商品パッケージの作成、養鶏農家への見舞金に活用しようと、先月からクラウドファンディングがスタート。当初の目標額30万円は達成したが、まだ資金不足で、目標を100万円にして引き続き支援を呼びかける。中田さんは鶏肉販売・加工を行っている自社でホームページや映像制作などの多角経営を実践する傍ら協議会の事務局を約10年務め、「地鶏にも勝る品質の高いうめどりを多くの人に食べてもらいたい。うめどりの養鶏農家を増やすのも課題」と話している。クラウドファンディングサイトは「kibidango」。