ボブ・ディランが来月、5年ぶりに来日し、大阪、東京、名古屋でライブを行う。チケットは最高額のGOLDが5万1000円、最安のA席でも2万1000円。さすがは外タレの横綱、A席ですら春場所最高額のタマリ席を上回る。

 代表曲「THE TIMES THEY ARE A―CHANGING」の邦題は「時代は変る」。世の中は絶えず変わり続けているが、82歳となったいまも御大のカッコよさは変わらない。

 世の中の変化といえば、仕事柄、交通事故(のニュース)の減少を実感する。理由は飲酒運転の罰則強化、交通量の減少、車の安全性能の向上などさまざま考えられるが、最大の要因はやはり飲酒運転に対する国民意識の変化であろう。

 先日、日高高校の国際理解教育講座で、北朝鮮による拉致被害者家族会代表の横田拓也さんが生徒たちに話をした。1997年、姉めぐみさんの拉致が明らかとなったが、当時はまだマスコミも「拉致疑惑」というスタンスで、被害者家族も「変なことをいっている人たち」との扱いだったという。

 1年前、国連安保理常任理事国のロシアが核使用をちらつかせてウクライナに侵攻し、これまで中立の立場をとってきたフィンランド、スウェーデンがNATO加盟を決断、申請した。

 わが国も状況は同様、いつ隣の核兵器国に攻められるかわからない。敵に攻撃を諦めさせる防衛力、反撃力の強化は国家として、人間として当たり前の反応で、他国による侵略が現実の危機となったいま、その深刻さは北欧の2国以上である。

 遅れている者が先を行き、先頭にいる者が一番後ろになる――。時代はボブ・ディランの歌詞の通り、一つの出来事で劇的に変わった。目を覚まさなければ。(静)