「夢のある事業」と岸本知事

 岸本周平知事は31日、県内での「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて積極的に取り組んでいく考えを示し、きょう1日、総合建設コンサルタントの株式会社長大(東京都)と連携協定を締結することを発表した。空飛ぶクルマは開発途上で、まずは2025年大阪・関西万博期間中に万博会場から県内まで実証飛行できる環境を整えるよう、推進していく。

 空飛ぶクルマは一般的に電動かつ自動で垂直に離着陸する移動手段を指す場合が多く、無人航空機ドローンを乗車可能にしたものやEV(電気自動車)をベースにプロペラや自動制御システムを備えたものを指す。移動時間の短縮、地上での渋滞解消、観光などの面から国内では官民一体となって研究開発や実用化を見据えた取り組みが行われている。兵庫県では先月23日、尼崎市のゴミ埋め立て地に空飛ぶクルマの離着陸場を整備する検討に入ったとし、大阪・関西万博会場からの往復飛行を目指している。

 和歌山県と協定を結ぶ長大は空飛ぶクルマの実装に必要なコンサルティングサービスを提供しており、経済産業省・国土交通省の「空の移動革命に向けた官民協議会」にも参画。今回、海や万博会場、関空、四国との距離が近く、実証飛行の適地であり、和歌山での将来的な実用化の可能性が高いと判断。空飛ぶクルマを活用した地方創生に関する取り組みでも連携していく。

 岸本知事は「和歌山は経済規模が小さく、大企業も少ないが、DXの時代は飛躍できるチャンス。リープフロッグ(カエル跳び)を目指す中、空飛ぶクルマは夢のある事業で、真っ先に取り組みたい」とし、「例えば白浜空港跡地で実証飛行ができるのではないか。県内は山間へき地で交通の便が悪く、空飛ぶクルマは便利。ドクターヘリの代わりになるし、観光にも活用できるなど、可能性はすごく広がる」と期待を込めた。