恵方参りのバスツアー客でにぎわう小竹八幡神社(17日午後)

 今年の恵方は「南南東やや南」で、阪神地方からは和歌山が恵方に当たり、日高地方の神社でも観光バスで訪れた恵方参りの参拝客で賑わいを見せている。新型コロナで冷え切った観光業にも少し明るい話題となっている。

 恵方は、陰陽道で福徳を司どるとされる歳徳神がいる方角で、甲(きのえ)、丙(ひのえ)、庚(かのえ)、壬(みずのえ)の4つ。その年の干支(十干)に基づいて決まる。正月に恵方の方角にある社寺に出かけて参拝する恵方参りは、江戸時代後半から明治時代にかけて流行したという。

 現在も恵方の神社などを巡るツアーが人気で、南南東(丙)が恵方の今年は、大阪や兵庫から多くの参拝客が来県している。観光バス客を受け入れている日高川町鐘巻、道成寺参道にあるレストラン雲水の黒田量也社長(53)によると、同社では今月20日までに約2000人の恵方参りツアー客が昼食で利用し、このうち御坊市薗の小竹八幡神社に約600人、日高川町三百瀬の紀道神社に約1000人が参拝。17日も、堺市を出発した観光バス3台が和歌山市の玉津島神社、日前宮を巡ったあと小竹八幡神社に到着し、120人の参拝客でにぎわっていた。

 南南東が恵方に当たるのは10年に4回あり、毎回大阪方面から多くの参拝客が和歌山を訪れていたが、前回は2021年で、1月は新型コロナの新規感染者数や死者数が増加し、緊急事態宣言の対象に大阪や兵庫などが追加された時期。ワクチン接種も開始前だったため、観光バスでの恵方参りツアーは行われなかった。黒田社長は「新型コロナの影響で観光業はまだまだ厳しい状況が続いていますが、久しぶりのにぎわい。この調子で観光客が増えてくれれば」と話している。