紀州の歴史、文化、自然などを「紀州学」と銘打って、総合的に調査研究しようと、県が県立博物館内に紀州学研究会を設置する。

 設置趣旨によると、和歌山を中心とする紀州は神武東征をはじめいつの時代も日本の歴史の中で重要な役割を担っており、高野山・熊野など国の宗教を包括するような神秘的な地域を抱えている。紀伊半島沖を流れる黒潮はたぐいまれな動植物を有する生態系をもたらし、深い森林に恵まれ、太古から続く地質活動で特異な景観を有するなど、山、川、海、そして人々のなりわいの歴史が脈々と築かれている。しかし、これまで個々の分野での研究はあったが、総合的な研究はなかった。

 このため、歴史、文化、文学、宗教、風俗などの人文科学や、紀伊半島の動植物の生態や気候、海流、地形などの自然科学、地域の経済や産業、暮らし、交流などの社会科学など、紀州に関するあらゆるものを紀州学として研究し、魅力を県内外に発信、かけがえのない故郷をしっかりと次世代に引き継ぐのが目的。

 今年度は活動に参加する研究者を募集し、分野ごとの研究体制を構築。来年度上半期に設立記念シンポジウムを開催し、その後も研究セミナーや大学との研究交流、研究報告会など進めていく。