厚生労働省が今年7月末に発表した国内の平均寿命は男性が81・47年、女性が87・57年。少しずつだが寿命が延びており、2060年には男性が84・19年、女性が90・93年で、女性の平均寿命が90年を超えると予想されている。


 寿命が延びることは大変結構なことだが、老後を自分らしく生き生きと過ごすための環境が整っているのかどうか。現状では移動や買い物支援、入浴、弁当宅配などさまざまな行政や民間のサービスが行われており、昔と比べて老々介護や一人暮らしの世帯でも随分と生活はしやすくなったのだろうが、それでもまだまだ十分とは言えない。お年寄り1人ひとりの生活スタイルや環境に合わせた、より一層きめ細やかなサービスが必要だ。


 先日、美浜町の祖母が100歳の誕生日を迎えた。籔内美和子町長らが花束などを持って祝いに駆け付けてくれたこと、そして普段お世話してくださる皆さまに紙面を借りてお礼を言わせていただきたい。筆者も誕生日にはささやかながらプレゼントを持っていったが、いつもと変わらず頭も体もしゃんしゃんな祖母の姿を見てうれしく、誇りに思う。本人は長寿の秘訣を「のん気なところ」と言っているが、戦前戦後の激動の時代を生き抜き、夫を内助の功で支え、子育てしてきた苦労は言うまでもない。昔、裁縫をしている時に足に刺さったとみられる針がいまも体内に残っているそうで、刺さった時はおそらく痛みがあったはずだが、日々の生活の中で押し殺していたのかもしれない。そんな我慢強さや気丈さが、百寿を迎えて元気に過ごすエネルギーの源だろうか…、人生のお手本にしたいものである。(吉)