一般の求職者や来春卒業予定の大学生などを対象とした合同企業説明会「日高地方Uターンフェア」が開かれた。県、ハローワーク御坊、御坊日高地区雇用対策協議会、県経営者協会就職支援センターが主催で、学生らが参加しやすい夏休みに毎年実施されている。

 私はコロナ流行前の2018年から取材しており、毎年、開始時間に合わせて会場の御坊市民文化会館に行っている。いつもスタート時に一番求職者の来場が多い印象だったが、今年は新型コロナの影響で混雑を避けたのか、ピークがなく入れ替わり立ち替わり来場者が訪れるという感じで少し寂しい印象だった。最終的な来場者は27人で、コロナ流行の1年目で、行事や催しが軒並み中止となった2年前の24人に次ぐ少なさだった。来場者数の減少は、コロナの影響を大きく受けているがそれ以前から深刻で、20年前は200人近くいたが10年で半減し、この10年でさらに半減している。一方、求人数は、過去最多だった19年の200人を21年には上回るなど増加傾向にある。

 ほかの都道府県の大学や専修学校などに進学した人が、卒業後に地元に戻って来ないことが地方の大きな課題で、和歌山県でもUターンフェアのほかに、大学と就職支援協定を締結し、学生の県内企業への就職を支援したり、県内企業に就職した先輩社員との交流会を開催し県内企業への就職をPRするなど対策に取り組んでいる。

 景気の動向など雇用情勢で有効求人倍率の上昇が良いとされる傾向があるが、深刻なのは人材不足の方。人材育成方法や高齢者の労働力の有効活用など新しい切り口で企業の将来を考えないと、地方企業の存続は難しくなっていくだろう。(陽)