コロナ禍の今、取材相手も皆マスクをしているが、写真を撮影するときだけ外してもらうことが多く、そこでその人の顔を知ることも多い。先日、ある学校で生徒たちの写真を撮る際、マスクを外してもらった。「みんなこんな顔してたんやね」と最初に声を出したのは、担当の教諭だった。もうコロナも始まって丸2年以上。2020年や21年に入学した生徒や児童たちの素顔を教諭が知らないのも、無理はないだろう。


 20年4月に小学校や中学校、高校に入学した子どもたちにとっては、コロナ禍の制限された行事しか経験していないことだろう。特に高校では、高校生活の中心とも言える文化祭もここ2年は中止したり、規模を縮小したりして校内だけで実施している。もう1年、コロナが続けば丸3年となり、コロナ前の学校生活を経験することなく、学校生活を終えることになる。行事だけでなく、普段の学校生活でも満足に友人と交流できていないことだろう。


 そんな中、今月には小中高校、高専などで卒業式が行われ、学校生活の2年以上をコロナで過ごした生徒たちが巣立っていった。答辞では生徒らがコロナ禍の学校生活や部活動などの制限が多く、また気軽に遊びに行けなかったなど、悔しい思いを振り返った。ただそれだけでなく、人と会えないことが多くなった分、会えたときの時間を今まで以上に大切にするなど、コロナだからこそ学べたことや成長できたことも述べられた。


 生徒らはコロナにより“当たり前”の学校生活を過ごすことができなかったが、“当たり前”のありがたみをより深く感じることができた。この思いと、大変な時期を仲間とともに過ごした日々を忘れることなく、これからの社会で活躍することに期待したい。(城)