紀伊水道で水揚げされるマルアジのブランド化への取り組みで、串本町の県水産試験場は魚の肥満度と脂の乗り具合を判断する指標などを作成した。一般的に脂の多い魚の方が食味は高いとされ、県中型まき網連合会特選出荷協議会がブランド化を目指す特選「紀和美(きわみ)」の出荷基準として活用できるという。

 マルアジは県漁業の重要魚種。大半が主幹漁業のまき網漁業で漁獲され、日高地方の水揚げ量も多い。

 水産試験場は肥満度の高い魚ほど脂質含有量が多いことに着目し、マルアジの肥満度を測定する方法について研究した。相対的に漁獲されるマルアジの肥満度の平均は係数0・0137に体長の3乗を乗じた数字となることをデータで明らかにし、この体長と体重から算出される肥満度の数値を用いることで食味が高いマルアジの選別につなげられるという。水産試験場は今後、ブランドの特選「紀和美」として出荷するマルアジの肥満度の数値基準などについて検討する。

 このほか、マルアジの可食部を化学分析した結果、産卵が終わる8月以降から上昇し、10月から12月にピークとなることを確認。魚の体長が大きくなるほど、脂質含量の割合も増え、200㌘では3%だが、500㌘になると13%となることも分かった。

 マルアジのブランド化を目指す県中型まき網連合会特選出荷協議会は紀州日高漁協、比井崎漁協、和歌山南漁協(田辺)などで組織。マルアジのほか、マサバ、マアジのブランド化を推進しており、昨年初めてマサバとマアジを「紀和美」として出荷している。