北京冬期五輪で日本勢が大活躍中。ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ノーマルヒルで小林陵侑選手(25)、スノーボード男子ハーフパイプで平野歩夢選手(23)が金メダルを獲得した。高木美帆選手(27)も女子スピードスケートの500㍍と1500㍍、団体追い抜きの3つで銀メダル。日本人選手がメダルを獲るたびにテレビや新聞で大きく報道されている▼オリンピックは「平和の祭典」と言われ、オリンピック憲章の根本原則には「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すため、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」と定められている。古代オリンピック期間中は選手や観客の安全を願って停戦協定が結ばれ、周辺の紛争が一時中断されたそうだ▼しかし、今回は開催中にも関わらずロシアとウクライナの情勢が緊迫し、今にもロシアがウクライナへ侵攻しそうな雰囲気。関係国の首脳らが平和解決に向けて会談しているが、いまのところ目立った進展がみられず、いつ戦争になってもおかしくないような状況だ。背景にはロシアが北大西洋条約機構(NATO)に加盟しようとするウクライナに対して快く思っていないことなどがあるという▼オリンピックとは関係がないが、日本国内でも岡山市で女児に虐待を繰り返したとして母親と内縁の夫が逮捕された。女児は昨年9月に救急車で搬送され、今年1月に死亡。死因は布団に巻かれ、窒息したとみられている▼平和の祭典のオリンピックで盛り上がりをみせている中、きな臭い動きやいたましい事件が起こっている。メダルの獲得数だけに目を向けるのではなく、今一度、オリンピックの開催目的を考え直す必要があるのではないか。

(雄)