県内で新型コロナウイルスの感染が急拡大し、各保健所の業務が逼迫(ひっぱく)している。御坊保健所も陽性者に対する聞き取り調査を行う疫学調査などの対応に追われ、職員らは帰宅時間の日付が変わることもあるという。いまだ第6波のピークが見えないなか、事務所内からは「このままの状態が続けば、いずれ業務は回らなくなる」という声も聞かれる。

 県内の感染者数は年明けから増え始め、今月2日には過去最多の597人を記録。御坊保健所管内でも先月26日に最多の24人を確認し、その後も2桁の感染者数が続いている。

 保健所では陽性が判明した感染者らに電話で行動履歴や接触者の有無などの聞き取りを行い、濃厚接触者や感染の疑いのある人らにPCR検査を要請。現状では一日当たり平均80件から100件程度の検体数で、これまでの最多は1月24日の190件だった。

 事務所内では電話がひっきりなしに鳴り、電話回線は8本だが、全回線がふさがることもある。「感染者が一桁だった時は何とかやりくりできたが、今は業務が大変な状態」という。

 保健所の職員数はコロナ対応の中心となる保健課、総務福祉課、衛生環境課の職員らも含めて42人。1月末からは周辺自治体から1人、年明けからも看護協会から2人がサポート。振興局に勤務する職員も5人ほどが業務を手助けし、データ入力、検体の運搬などを担当している。

 健康福祉部の中西俊文副部長は「コロナは一つの災害のようなもの。常時、コロナに対応できる人員を配置するのは難しい。今は全所態勢で職員が一丸となって取り組んでいる」といい、住民に対しては「ちょっとしたことで感染することもあります。基本的なことですが、手洗い、手指消毒、密を避けるなどの感染対策をお願いします」と呼びかけている。