写真=報道陣の取材に応じる仁坂知事

 菅義偉首相(自民党総裁)が3日、総裁選(17日告示・29日投開票)への不出馬を表明したことを受けて、県内でも驚きの声が上がった。コロナ禍の中、持病の悪化を理由に突然の辞任となった安倍晋三前首相からバトンを引き継ぎ約1年。県民からは「厳しい状況の中もよく頑張ってくれた」と評価する声が聞かれる半面、ワクチン確保など後手に回る対応に不満の声も上がっている。

 菅首相は昨年9月、安倍前首相の後任を決める総裁選で岸田文雄前政調会長、石破茂元幹事長に圧勝し、首相に就任。デジタル庁の設置やコロナ緊急事態宣言下での東京オリンピック・パラリンピック開催を実現した。今回、辞任の意向を表明した前日、自民党の二階俊博幹事長と会談し、総裁選に出馬するとともに、6日にも党役員人事と閣僚の一部交代を行う考えを伝えていた。しかし、総裁選直前の異例の人事や、一転二転する衆議院の解散などに党内から反発があり、今月末までの総裁任期満了で退陣することを決断したとみられている。

 仁坂吉伸知事は3日、報道陣の取材に応じ、「正直びっくりしている」とし、「デジタル庁の創設や高齢者へのコロナワクチン接種を強力に進めたことは高く評価されるべき」。一方で「結論的にはコロナ対策がはかばかしくいっていなかった。ワクチンの確保も国を挙げてやっているところは見えなかった」と指摘。次の政権には「コロナ対策は人流抑制だけではなく、幅広い分野の専門家の知見を聞き、それをデータや理屈で分かりやすく説明していただきたい」とした。