日本は外国に比べて台風、洪水、地震などの自然災害が発生しやすい。地震に関していえば、日本の面積は全世界のたった0・28%だが、マグニチュード6以上の地震の20・5%が日本で起こっている。過去を振り返ってみても1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災は記憶に新しく、被災地では甚大な被害を受けた。11年の紀伊半島水害では全体で83人が死亡、15人が行方不明となり、県内の死者は56人、行方不明は5人だった。日高地方でも日高川町で4人が犠牲となった。

 静岡県熱海市で3日、土石流による被害が起き、一瞬で周辺の集落が土砂に飲み込まれた。自衛隊などが懸命な捜索活動を展開。9日現在で9人が死亡し、20人が行方不明となっている。テレビの映像を見ると、改めて土石流の脅威を痛感。原因は不適切に行われた盛り土という見方もあるが、長引く降雨で雨水が蓄積していたことも関係していることだろう。

 和歌山県は大部分を山林で占めている。土砂災害が発生した場合に住民の生命や身体に被害が生じる恐れがある土砂災害警戒区域が県内2万1879カ所で指定。この数字の大きさをみると、土石流や地滑りは県内のどこで発生してもおかしくない状況といえるだろう。

 これからの季節は台風や豪雨による被害が発生しやすくなる。人間は自然災害の前には無力といわれることもあるが、事前の準備で被害を防げることが多い。非常時の持ち出し袋の用意、気象条件の把握、早めの避難など個人でできる対策を徹底することが大切だ。それが自然災害の多い日本列島に住む我々のせめてもの命を守る手段といえるだろう。(雄)