今年度から、新卒高校生の就職試験制度が変更になり、当初1人1社しか受けられなかったところ、何社でも応募できるようになった。

 これまで生徒は、働きたい企業ではなく、進路指導の面談などで、校内選考に受かりやすい企業を受ける傾向があり、就職後早期離職の一因とされていたため、新たに複数応募制が導入された。今後は生徒が主体的に企業を研究し、意欲を持って働きたいと考える企業に応募することになる。これで生徒と企業のミスマッチの減少が期待されている。

 来春卒業予定の高校生に向け求人を出す企業の説明会を取材し、詳しい話を聞いた。企業には複数応募不可にする選択肢もあり、面接日が採用選考開始後すぐに集中するため、現実的には生徒が多くの企業を受けるのは難かしい。そのため、企業には併願可能な求人と複数の試験日の設定など協力が求められている。

 若い人材不足は、地方共通の課題で、和歌山でもUターンや移住・定住の促進などに取り組んでいるが、ハローワーク御坊の所長は「就職を希望する生徒を地元でまず定着させることが重要」と話していた。

 県内の高校3年生は約9000人で、このうち8割以上が進学。県内で就職を希望するのは約15%となっている。15%の人が意欲的に働ける環境づくりは一歩前進。進学した人や働き盛りの人が「戻って来たい」「住みたい」と思う地域づくりや経済の活性はあらゆる分野の人が試行錯誤しているが、一筋縄ではいかない。住環境、仕事、安全、便利さなど、住みたい基準は人それぞれだが、人が増えれば経済は動く。まず、地元に暮らす筆者ら一人ひとりが、充実した生活を送ることができれば「いいまち」の価値になると思う。   (陽)