写真=「当事者の気持ちを理解してほしい」と石橋氏

 御坊青年会議所(山本哲理事長)は26日、御坊商工会館で定期例会に合わせて講演会を開いた。講演は若者から中高年まで長期化が社会問題となっているひきこもりをテーマとし、美浜町を拠点にひきこもりからの社会復帰支援活動を行っている特定非営利活動法人ヴィダ・リブレ理事の石橋玄氏(51)から、国内のひきこもりの現状、ひきこもる人との接し方等について話を聴いた。

 今回のひきこもりについての講演会は、若者だけでなく中高年にまで到る長期ひきこもりの増加が社会問題になっているなか、ひきこもりについて理解を深め、そうさせないための環境づくりや、向き合い方を学ぶことを目的に開催。JCメンバーが会場に8人、リモートで約30人参加した。

 ひだか病院の臨床心理士でもある石橋氏は、「今知ろう、ひきこもりについて」と題し、1人ひとりの状況や心理状態を把握し、それぞれに合った支援が必要であること等を説明。ひきこもりの人たちには心優しい人が多く、さぼっているのではなく、悩み苦しんでいるという実態等についても述べた。

 1人ひとりの状態については、当事者の生きてきた時代背景や、家庭環境を理解することが必要とし、当事者は「親に迷惑をかけたくない」、自己評価が低く「変な人に思われているのではないか」と思い込んでいる人も多いことがあり、サポートを通じて当事者に自信を持たせることで社会復帰への道が開けてくると強調。「ひきこもりの人は家でさぼって楽をしていると思われがちだが、決してそうではない。悩み苦しんでいることが多い。そのことを理解してほしい」と呼びかけた。

 続いてひきこもり経験者の男性(26)が自身の経験を語り、製造業に就いていた際に、夜勤で生活リズムを崩し、人間関係にも悩んだことがひきこもりの原因となったと説明した。

 講演を聴いた御坊青年会議所副理事長堀口貴司さん(38)は、「私も学生時代にひきこもりを経験したことがあり、当事者との関わり方などに非常に共感した。社会の人々に、より理解を深めていってほしいと思いました」などと話していた。