全国的に新型コロナウイルスの感染拡大する中、成人の日(11日)を前にした10日、各地で成人式が行われた。中にはコロナ感染症防止のため、中止や延期はやむなしとする自治体もみられ、日高地方の7市町の中では美浜町とみなべ町が延期の措置となった。しかし、残りの5市町では感染防止対策を行った上で式を挙行。例年よりも簡素化されたが、取材した会場では若者たちのみなぎるようなパワーを感じた。

 成人式の歴史はそう古くない。インターネットで調べると、日本で今のような成人式が行われたのは1946年の埼玉県蕨市が最初。45年の太平洋戦争敗戦で、日本全体が意気消沈していたため、青年たちを励まそうという趣旨で行われたという。これに政府も影響を受け、1948年に1月15日を成人の日に制定。2000年のハッピーマンデー制度導入に伴って1月の第2月曜に変更された。

 我が家でも長女が今年、二十歳を迎えた。当初、本人は式への出席について、あまり積極的ではなかったが、娘の晴れ姿を見たいという親の思いから式に出席するように諭し、1年半ほど前から準備。衣装をレンタルするため、家内が子どもを連れてあちこちの着物店を回って振袖選びなどを行った。筆者は準備作業にはあまり関わってこなかったが、娘の晴れ姿を楽しみにしていた。

 式当日の朝、その姿を目にすることができ、一緒に並んで記念写真を行った。すると、娘が「お父さんやお母さんが一番楽しそう」と小声でポツリ。成人式は大人への通過儀礼で、もちろん本人が主役。しかし、現代の風潮を考えると、親にとっては〝子育ての卒業式〟という意味合いもあるのかもしれない。 (雄)