美浜町へのふるさと納税寄付額が5億6000万円を突破した。日高地方いずれの自治体も昨年に比べ、寄付を受ける額を伸ばしており、全国的にも、コロナ禍の巣ごもり需要が後押しして、食品など返礼品に注目し寄付する人が増加したという。それにしても美浜町の増加率は著しく、11月末時点での受付件数は、昨年同月の23倍。自治体によってふるさと納税への取り組み方は異なるが、積極的に返礼品の数を増やし、増収を図った美浜町の取り組みは大成功と言える。

 ふるさとに暮らす筆者は個人的にはふるさと納税をしておらず、制度の知識もあまりなかったが、担当する美浜町の現状から記事を書く機会も増え、少し勉強したので紹介したい。

 ふるさと納税は、「納税」となっているが実際は、応援したい自治体に寄付できる仕組み。寄付すると、自治体や地域産業に貢献できるだけでなく、多くの場合寄付のお礼として地方の特産品を受け取れる。寄付したお金のほとんどは税金の控除というかたちで戻り、実質2000円の負担で返礼品を手にできる。2015年には、寄付に対して戻ってくるお金(控除)の上限額が約2倍に引き上げられたり、控除を受けるための確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が導入されたりと国も推進。今年は新型コロナ対策支援など返礼品のない寄付も受け付けられている。

 地方財政を潤す方策として有効な半面、寄付する人が多い都市部では、税金を控除し税収が減少している自治体も多い。これは都市部に限らず起こり得ることで地方にとってはもろ刃の剣。自分たちのために使われるべき税金を住民自身がよその地域に贈るのだ。寄付する場合は、よく考える必要がある。(陽)