日本高野連と朝日新聞社は20日、8月10日に開幕を予定していた第102回全国高校野球選手権大会の第2回運営委員会と理事会をオンラインで開き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、同大会と、49代表校(北海道、東京各2校)を決める地方大会の中止を正式決定した。夏の甲子園の中止は戦後初。今年は選抜大会も中止されており、同じ年の春夏甲子園の中止は史上初。本紙エリアでもニュースが流れると、選手、保護者、指導者から落胆の声が上がった。

 主催者は「安全と健康を最優先に考えた苦渋の決断」と大会の中止を発表。理由については、約3800校の選手が参加し、1カ月半にわたって約250球場で開催される地方大会、団体での長時間の移動や長期の宿泊を伴う全国大会で選手や運営関係者の感染リスクをぬぐえないことや、部活動停止による練習不足でのけがの懸念など挙げた。

 都道府県高野連の中には独自の大会へ準備を始める動きもあるが、主催者ではその開催はそれぞれ自主的な判断に委ねるという。和歌山では、県高野連が6月9日に会議を開いて検討するとみられ、県独自の大会が開催される可能性も残されているようだ。

 昨秋、学校創立以来初の近畿出場を果たし、今夏の躍進も期していた和歌山南陵の尾塲瀬寛太主将(3年・尼崎市出身)は「決定の知らせを監督、コーチから聞かされましたが、正直、何ともいえないという気持ちです」と神妙な面持ちで話した後、「監督、コーチからは『県大会の可能性があるので、頂点をとれるように頑張っていこう』との話があり、みんなモチベーションを保てていると思う。県大会で1位になれれば甲子園へ行ったのと同じで、最後に笑って終わることができると思う」と代替開催の実現を願っていた。

 御坊市在住で、主力として活躍が期待されていた県立校3年生の子どもを持つ保護者(44)は「コロナの終息がみえない中で覚悟はしていましたが、いざ決まると本当に残念に思います。子どもも落ち込んでいて、かける言葉もなかなか見つけられませんでした」と落胆の声。今後については「休校の間も子どもが自主練をやっていたのを見てきたので、最後まで高校野球生活をしっかりと過ごし、やり遂げられるような環境をつくってもらえればありがたい」と、南陵球児と同様に県大会の開催を望んでいた。

 昨年の県新人戦準優勝、秋季近畿地区県予選ベスト4で、地方大会があれば有力校に挙げられるはずだった日高中津の山本誠司監督(45)は「3年生全員に携帯電話で『とにかく前を向いて頑張っていこう』と連絡はしましたが、本当に無念です。子どもたちには何とか区切りをつけさせてあげられるよう、県独自の大会ができればいいのですが…」と言葉少なだった。