「スマホ」と呼ばれるスマートフォンの普及率は昨年11月現在でおよそ8割だという。長らく「特に不便はないから」とガラケーを使い続けていたが、今月ようやくスマホデビューを果たした。が、いまだその恩恵を十二分に享受しているとは言い難い◆機械類の扱いなど全部苦手なうえ、50の坂に差し掛かった辺りからなけなしの記憶力がさらに激減している。設定の仕方など操作方法がいちいちガラケーとは異なるので、メールを打つ、マナーモードに変えるなど何か操作をしたいと思うたびに誰かの教えを乞う羽目になる。うっかり変な所に触れて間違い電話をかけてしまい、慌てて切ろうとして画面を見てもどうすればいいのかとっさに分からず、相手が出てから「すみません、間違いました」と謝る、というのを2件やった。早朝の間違い電話も1件。申し訳ないことである◆最大の利点は、いつでもどこでも知りたいことを即座に検索できること。テレビを見ながらちょっとでも知らないことがあると検索し始め、その時飲んでいた飲料の商品名から昔見ていたテレビ番組までどんどん調べてしまう。コーヒー飲料のメーカーサンガリアが「国破れて山河あり」からとられたこと、「機動戦士ガンダム」のガンダムはチャールズ・ブロンソンが流行らせたCM「う~ん、マンダム」から名付けられたことなど、いろんな豆知識を目にすると楽しくて止まらない。時間を忘れて思いつくまま検索を繰り返し、画面に読みふけってしまう◆情報と知識はニュアンスが違う。氾濫する情報を的確に選び取り、自分の中で生かして自在に使える知識に変え、そして深い知恵を育てていく。そうできればいいが、当分は使い方さえままならない新たな機器に振り回されそうだ。(里)