年末に、日本高校野球連盟200年構想の一環で日高地方の学童球児たちを対象にした「けが防止講座」が開かれた。県高野連が主催。会場の紀央館高校には9チームから146人の小学生と指導者、保護者らが集まり、スポーツドクターと理学療法士による肘のエコー診断などを受診、故障の早期発見と治療につなげたのをはじめ、肩や肘のけが防止やケアの方法、スポーツ選手の食事なども学んで今後の参考にした。

 特に新しい取り組みだったのが、肘のエコー診断。野球の投球動作で故障を発症するスポーツ障害「野球肘」には痛みを伴わず進行し、放置されたまま重症化、後遺症が残るケースがあるといい、定期的な専門家のチェックが必要との認識が高まってきている。それが無料で受診でき、異常が見つかった場合は医療機関での2次検診を勧めてもらえる。痛みがないと、自分の体といっても故障を発見するのは難しく、地元の子どもたちには、よい機会だったと思う。

 現場での取材によると、子どもたちの野球肘の割合は全国平均で約3%とのこと。まだけが防止の取り組みが進んでいない和歌山では確かな統計はないが、「その倍くらいでは」という予想も出ている。先進地では大会やシーズン前に検診を受けなければ試合に出場させないという地域もあるそうで、将来的に見習っていかなければならないと考える。

 「野球王国」の中でも当地方は子どもたちのレベル、競技熱ともに高い。県高野連は定期的にこの講座を開いていく考え。指導者も理解を示し、けがを理由に野球から離れる子どもたちが一人でも少なくなるよう参加を推進してほしい。(賀)