星めぐり・かわべ天文友の会主催のイベント「星めぐりを奏でる夕べ」が8日に日高川町和佐のかわべ天文公園で行われ、同町出身でJAXA特任教授、はやぶさプロジェクトにかかわっている圦本尚義さん(60)が講演した。同天文公園で圦本さんが語るのはこれが初めて。「ここでの講演は私にとって格別です」と話し、大きな拍手が送られた。

 圦本さんは、「はやぶさは地球の誕生、はやぶさ2は生命の誕生を探るプロジェクト」と説明し、2014年12月3日、種子島からのはやぶさ2打ち上げ映像を動画で紹介。「ことし6月に目的の小惑星リュウグウの上空に到達するまで、はやぶさ2は3年半かけて32億㌔の旅をしました」と話し、到達の瞬間にスタッフみんなが「やった!」と喜ぶ様子の写真も紹介した。「リュウグウの上空20㌔がホームポジションで、今もそこにいます。9月21日に着陸機ミネルバを2機放出し、ミネルバは地面に落ちて飛び跳ねながらリュウグウの地平線と太陽の光を撮影しました」と、ニュースでも紹介された写真を大きく映して見せ、リュウグウは直径900㍍ほどの天体で地表が予想よりもでこぼこしており、はやぶさ2の着陸できる地点が容易に見当たらないことを説明。送られてくるデータをもとに可能なポイントを探し、「15㍍四方の範囲内で着陸できるポイントがあることがわかりました。おそらく1月下旬に着陸できると思います」と明かした。はやぶさ2の使命はリュウグウの物質を持ち帰ることで、今回は表面だけでなく、穴を掘って内部の物質も持ち帰る。「生命のふるさとを知るミッション、リュウグウからの『玉手箱』が帰ってくるのは2020年、東京オリンピックのあとです。楽しみに待っていてください」と締めくくった。質疑応答で「はやぶさの時との大きな違いは」と問われ、「はやぶさはいろいろ壊れて大変でした。2は、その経験から学んで計画したので、今のところ失敗はまったくなく順調に進んでいます。映画にはなりませんね」と笑わせた。

 続いて上玉利剛さん(京都府在住)が星空の解説。天体望遠鏡の特別観望を予定していたがあいにくの曇り空で、終演後に希望者が天文台へ上がることに。雲の晴れ間を待ち、おうし座の恒星アルデバランだけを見ることができた。参加者は「一つだけでも見られてよかったです」と満足そうに話していた。

写真=はやぶさ2のミッションを語る圦本さん