十数年前、印南町を担当していたとき、まちづくりにユニークなアイデアと行動力を持った当時の町職員から、まちおこしの先駆者として長野県小布施町のセーラさんの話をよく聞かせてもらったのがいまでも印象に残っている。海のない長野県の町で「海の日」に人でウエーブを起こそうと「小布施見にマラソン」を開催したり、北斎研究の第一人者に話をつけて「第3回国際北斎会議」の開催を実現させた有名人。まちおこしとは、地域の魅力と人を引っ張るリーダーが必要だとよく教えてもらった。

 御坊市ではつい最近、これから地域のにぎわいにつながる明るい話題があった。野口オートキャンプ場をキャンピングカーが集う「CCC(キャンピングカー倶楽部)パラダイス御坊」として全国に発信することになった。フェイスブックで3500人が登録している「キャンピングカー倶楽部」、7000人が加盟している日本最大のキャンピングカーオーナーズクラブ「くるま旅クラブ」と市ふれあいセンターがタイアップした全国初の取り組み。年々人気の高まっているキャンピングカーが、年間を通してたくさん野口に来ることが期待されている。

 5月に野口キャンプ場で開いたオフ会で、キャンピングカーユーザーに気に入られたことも大きいが、ふれあいセンター職員と市職員がこれからもっと利用してもらう方法を考えようと、ユーザーの中心人物に連絡を取り、会いに行ってコミュニケーションをしっかり取ったことが、今回のタイアップにつながったといえる。まちの魅力やまちおこしのチャンスをものにできるかどうかは、情熱を持って取り組む人がいるかどうかだと、あらためて感じさせられた。(片)