経済協力開発機構(OECD・本部=パリ)のプロジェクト「OECD地方創生イノベーションスクール2030」に参加するために組織された、日高、那賀、星林、海南、田辺の5校の生徒で構成する和歌山クラスターが15日、日高高校で解散式を行い、約3年間の取り組みを終了させた。

 このプロジェクトは2030年に予想される地域の課題をテーマに、自らで解決する力を身に付けることを目的に2015年4月から始まった。取り組みは学校単位でなく、複数の学校の生徒などが集まり「クラスター」と呼ばれるグループをつくって取り組む。クラスターは国内の他地域や世界の各国にもあり、いくつかの国のクラスターとパートナーとなり、テレビ電話などを使って会議なども行ってきた。

 日高の生徒たちは和歌山クラスターとしての活動のほか、独自の取り組みとして由良町の観光マップ作りや御坊市の商店街で子ども向けのまちゼミ開催、紀州鉄道へのイベント参加などを行ってきた。どの取り組みもサポートしてくれる大人はいたが、主体はあくまで生徒。まちゼミなどでは暑い季節だったので、汗を流しながら取り組んでいた生徒の姿を思い出す。

 社会で求められるのは自らのアイデアで可能性を創り出し、その実現に向けて計画性を持って取り組んでいける人材だ。OECDではそういう人材の育成へ向けた取り組みを進めてきた。この解散式でとりあえずOECDとしてのプログラムは終わるが、取り組んできたことは大きなプログラムの中でなくとも続けていくことは可能だ。今回参加した生徒を中心に、地域の課題解決へ向けた創造と実現を続け、後輩、その後輩へと引き継いでいってくれることに期待したい。(城)