西日本豪雨災害の死者は11日午前中で150人以上、行方不明者も50人以上とされている。河川の決壊による浸水、土砂崩れ、ため池の決壊、土石流にのみ込まれ、命を落とした幼子や小学生、結婚したばかりの妻、大手新聞の記事を読むたびに涙があふれてくる。テレビで見ていても、浸水はあっという間で、避難した学校の3階まで水が迫ったケースもあった。災害のたびに「想定外」がいわれるが、人の想像をはるかに超える自然の猛威から命を守る方法といっても、答えは簡単ではない。

 テレビや新聞での被災地の現状を見て、2011年9月、紀伊半島を襲った台風12号豪雨の被害を思い出した日高地方の人も多いだろう。筆者も早朝から日高川町を中心に取材に回ったが、牙をむいた日高川の猛威に日高地方で4人が犠牲になり、依然として1人が行方不明のまま。川沿いの別荘地は壊滅、住宅にも容赦なく濁流が押し寄せ、道路はえぐられ、水が引いた後の道路には大量のがれきや流されてきた車が残されていた光景はいまでもはっきりと目に焼き付いている。数十年や100年に一度の雨など、近年いつ降ってもおかしくない。

 最も気がかりなのが、日高川の下流域だ。藤井や野口では12号豪雨のあと川底に大量の土砂が堆積したままで、川のキャパシティーは小さくなっているといえる。さらに、2011年に氾濫した日高川町の日高川は河川改修が終わり、川幅が広くなってキャパが増えている。7年前ぐらい雨が降れば、今度は御坊市で氾濫するのではないかと心配している人は少なくない。堆積土砂のしゅんせつなど、いまできる対策はある。そういうことに税金を使ってほしい。(片)