左利きの人、血液型がAB型の人。皆さんの周りにも、すぐに思い浮かぶだけでたくさんいるのではないだろうか。およそ13人に1人の割合だそうだ。実は性的マイノリティといわれるLGBT(レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字)の日本人も約8%、13人に1人といわれている。日本人の4大名字といわれる佐藤、田中、鈴木、高橋を合わせても5%程度だと考えると、LGBTの人が多いことが分かる。
 しかし、身近にLGBTの人がいるかと聞かれると、左利きの人やAB型の人のように思い浮かばない。いないのではなく、気づいていないだけ。いや、知識不足ゆえの差別や偏見という誤った見方が社会にはまだあり、カミングアウトできないでいる人がたくさんいるということだろう。とくに性同一性障害といわれるトランスジェンダーやトランスセクシャルの人たちは、なかなか他人には理解してもらえない苦しみがあるだろう。先日、美浜町で開かれたLGBTのトークイベントで、そんな悩みに少し触れることができた。
 女性から男性への性適合手術を受けている中久保眞実さんは心と体の性の不一致に悩んだという。さまざまな困難を乗り越え、生き生きと生活している本人はもちろん、印象に残ったのは中久保さんの母親。カミングアウトを受けたとき、子どもの好きなようにさせてあげようと思ったという話にぐっときた。その母から「皆さんは家族からカミングアウトされたら、どうしますか」との逆質問に少し考えた。この母親のようにできるだろうか。なかなか答えは出ないが、こんなふうに考えてみることからLGBTへの理解が深まっていくのだと思う。(片)