パチンコ台やルーレットを備えたアミューズメント型デイサービスが高齢者に人気を呼び、全国的に増えているという。先日もニュースで取り上げられていたが、施設内には本物のスロットマシンやバカラ台が並び、見た目は海外のカジノそのものである。
 かなり前、御坊市の介護施設に麻雀台が登場したという話を取材した。10年ほど前には、和歌山市のスーパー内のゲームセンターが高齢者だらけで、完全にお年寄りの憩いの場になっているのを見て驚いたが、それを思えば不思議はない話か。
 いまでは施設の介護士がディーラーの衣装を身につけ、カジノのような非日常的な空間が興奮を高め、疑似通貨を稼ぐゲームの思考が認知機能を向上させることにもつながっているという。
 一般的に通所介護の利用は女性が多く、折り紙や手芸、カラオケなど従来のプログラムでは男性はなかなか行く気にならない。ところが麻雀やパチンコといった射幸心をあおるゲーム性、勝負の要素が入ることで一気に男性利用者が増えるそうだ。
 これら人気のアミューズメント型介護施設だが、事業者が心身の機能訓練、家族の負担軽減といった介護の本来の目的を忘れ、利用者獲得のビジネスに走ってしまう恐れがある。あくまでも、ゲームと疑似通貨は介護予防の手段であり、この点を懸念する一部自治体で規制の動きも出ている。
 先般の仮想通貨騒動でも指摘されたが、問われるのは事業者の危機管理であり、仮想通貨そのものは悪いものではない。このカジノ型デイも利用者が増え、要介護度が改善し、介護予防効果が出れば決して悪い話ではない。ほとんどが税金で回っている介護保険、そのサービス事業者としての本分をお忘れなく。(静)