LGBT(性的マイノリティ)について理解を深めてもらおうと、日高地方の主婦らでつくる古民家コミュニティ(木戸地美也子管理者)は12日、美浜町和田のカフェ&バー・ミュージックハウス「ねいろ」で音楽とトークイベント「古民家のおんがくフェス」を初開催。和歌山市で活動するLGBTの当事者3人が、心と体の不一致で苦しんだことなどを話し「カミングアウトしなくてもいい社会に」と訴えた。
 県男女共同参画センターの「みんなに男女共同参画」提案事業の一環。男女共同参画とLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字)について学び、セクシャル・マイノリティが差別や偏見にさらされることなく、当たり前に生きていける社会を実現しようと開催した。
 トークイベントには、和歌山市を拠点に理解を広める活動に取り組んでいる「LGBTと愉快な仲間たち」のメンバーら3人が出演。心と体の性が異なり外科手術で一致させることを望むトランスセクシャルで、女性から男性への性適合手術を受けている中久保眞実(まこと)さん、女性として生まれ男性として生活し、同グループの代表を務めるトランスジェンダーの安西美樹さん、バイセクシャルで性暴力被害支援等にも取り組む高瀬和代さんで、司会者からの質問に答える形でそれぞれの思いを披露した。
 中久保さんは心と体の性の不一致に悩んだこと、母親にカミングアウトしたときのこと、先日パートナーと結婚式を挙げたことなどを紹介した上で、「つい最近子宮を摘出しましたが、あまり実感はない。これからも男らしく生きていきたい」などと生き生きとした表情で話し、母親も「2人で泣きながら話した。子どもの好きなようにさせてあげようと思った」とカミングアウトを受け入れた当時を振り返った。安西さんは「性の不一致で悩む多くの人はカミングアウトを考えると思うが、私は子どものころから友達みんなが男として受け入れてくれたので苦労はなかった。ただ、どんな反応が返ってくるか不安に思っている当事者はたくさんいる。少しでも皆さんにLGBTについて知ってもらって、カミングアウトしなくてもいい世の中になってほしい」と当たり前に生きていける社会の実現へ力を込めた。高瀬さんも「体と心が違うのはしんどいと思う。支えていくパートナーが大事」ともっと理解が進むよう訴えた。
 司会を務めた古民家グループの女性は「御坊日高にも悩んでいる人は多いと思う。もう少しオープンにできる社会が実現するよう理解を深めていきたい」と集まった約30人に協力を呼びかけた。
 トークイベントの前にはアコースティックユニット「トナリ」がカバー曲やオリジナル曲を披露した。