県は近くシカの夜間銃猟をスタートさせるなど、獣害対策に力を入れているが、そんな獣害対策の一環ですっかりジビエ料理がおなじみになった。
 筆者は父親が狩猟をしているのでシカを食べる機会が多く、昔は生で食べることもしばしば。独特の臭みもなく、ごま油と塩で食べると風味がよく美味だった。最近は食中毒などで厚生労働省が生で食べないよう注意しており、加熱して食べている。タレに漬け込んだのを焼き肉にするオーソドックスな食べ方。おいしい上に赤身なのでヘルシーでもある。
 シカ肉料理については日高地方でも食生活研究グループや高校生らがさまざまな料理を考案。焼く、煮込む、揚げるなど、調理方法はたくさんあり、団子やスープ、バーガーのほか、グラタンで使っているレシピも。先月12日に日高川町で催された第1回フォレスト祭では、シカの脚の肉を骨が付いたままローストしたものを食べさせてくれるブースがあり、大人気だったそうだ。人気漫画「ワンピース」では主人公のルフィが豪快に骨付きの肉にかぶりついているシーンが多いが、案外そういった野性味あふれた食べ方が、いまの若者世代には斬新で人気が出るのだろうか。
 捕獲した肉の需要が高まれば、より一層、捕獲数も増える。シカに限った話ではないが、有害鳥獣として捕獲すれば報奨金が入り、肉も売れば金になる。捕獲や肉の解体、販売、料理提供までを一貫して行えば、一つの会社が立ち上げられるのではないかとも思う。獣害対策を兼ねた会社経営なら、国から補助金が出てもよさそう。何はともあれ、むやみな殺生はよろしくないが、深刻な獣害が減ることを願っている。   (吉)