由良町は、2017年度文化賞を発表した。片岡生け花教室主宰の片岡三千代さん(81)=阿戸=で、「池坊」の流派で40年近くの長きにわたり生け花の指導や展示会の出展などを続け、華道の普及、発展に貢献している。文化功労賞、文化奨励賞も各1人決まっており、表彰式は11月3日午前9時から役場で行われる。
 片岡さんは小学校4年生の時、友人の誘いを受けて地元の華道教室に通い、華道を習い始めた。「最初に指導してもらった故宮本八重先生は、華道だけでなく俳句もするし、字も達筆で何でもできるお方でした。指導は厳しかったのを覚えています。宮本先生含め3人の先生に教えてもらい、いまがあるのだと感謝しています」と振り返る。生け花教室を立ち上げたのは自身が40代に入ってからで、「当時は花嫁修業の一つでもあり、小学生や中学生ら子どもの生徒がたくさんいました。いまは一般の女性が習いにきてくれています」とにっこり。教室での指導の傍ら、町文化展や年4回程度ある池坊展示会(京都府)などにも出展。あかつき園の園生に、生け花の指導も行っている。
 生け花の魅力については、「『足で歩いて生けよ』と言われます。野辺や水辺を歩いて、咲いている花の姿を見て自然を学び、その花が生き生きとするように生けます。何とも言えず心が落ち着くひとときです。生け花を通じて大勢の人に出会い、教えられ、伝えることもできました」。受賞に際して「550年以上の歴史を持つ池坊の重みを感じながら、いまもゴールなしで華道の勉強を続けています。私にはもったいない賞です。多くの皆さんに助けていただき、支えてもらって受賞に導いてくれたと思っています」と話している。
 文化功労賞は、書道の村山やよいさん(61)=吹井=。書道教室を開いて子どもらを指導する傍ら、和歌山県展、和歌山市展、御坊市展、読売書法展、日本書芸院展などさまざまなコンクールで入賞している。文化奨励賞は、日高高校3年の小林美佑さん(17)=衣奈=。同校箏曲部に所属し、県高校総合文化祭邦楽部門で優勝、全国高校文化祭日本音楽部門で優良賞(ベスト8)を受賞しており、今後さらなる活躍が期待される。