改組新第4回日展は11月3日から12月10日まで東京都港区六本木の国立新美術館で開催。書の部で書家の弓場龍溪さん(71)=日高町小中=が20回目、日高高校教諭の田ノ岡大雄さん(33)=御坊市湯川町富安=が6回目の入選を決めた。和歌山県内の入選は15点だった。2人とも「皆さんのおかげ」と喜んでいる。
 同部には8457点の応募があり、入選は1028点だった。
 弓場さんは40年近く前に良寛の詩で初入選して以来、漢字と調和体の両方で入選を重ね、今回は2年ぶり20回目の入選を決めた。調和体で、斎藤茂吉の歌集「赤光(しゃっこう)」から「桑畑の畑のめぐりに紫蘇生ひて断(ちぎ)りて居れば匂ひ立つかも」「寝て思(も)へば夢の如かり山焼けて南の空はほの赤かりし」の2首を書いた。斎藤茂吉は昔から好きな歌人で、いつも手元に歌集を置いているという。
 「20回目の入選を果たせて喜んでいます。やっと20歳になれたような感慨があります。多くの人達の支えのおかげと感謝しています。書は精神性の強さが要求される芸術。しっかり本も読み、しっかり書いていけば自然と作品に神が宿り書かせてくれるような気がして努力しております。これから書を通じて皆さんの役に立てたらと願っています」と喜びを話している。
 田ノ岡さんの作品は大字仮名。明治から昭和にかけて活躍した歌人前田夕暮の短歌「向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ」を書いた。「今回は太陽をしのぐほど大きく高く咲き誇るひまわりを詠んだ短歌を書きました。筆のいろいろな面を活用し、力強い線、うるおいのある線、逆に力の抜けた軽い線と、メリハリのある仕上がりになるよう心がけました。6回目の入選、少しは自分の思いを表現できるようになってきたと思いますが、作品の表情を豊かに表すという点ではまだまだと思います。それを実現できるよう、一層精進して取り組んでいきたいと思います」と話している。