安倍晋三首相は3日、内閣改造・自民党役員人事を行い、二階俊博幹事長(77)が正式に誕生した。注目の世耕弘成内閣官房副長官(53)は経済産業相に起用されることが決まったほか、鶴保庸介元国交副大臣(49)も沖縄・北方担当相に内定。県選出の国会議員が3人同時に重要ポストに就くのは例がなく、地元はお祝いムード一色で、停滞する和歌山の経済再生へ期待感が高まっている。
 二階氏は、安倍総裁から第48代幹事長の指名を受け、3日午前中に開かれた臨時総務会で全会一致で承認された。昭和58年12月の総選挙で初陣を飾って以来、11期連続当選のベテランは、党内での発言力、影響力が群を抜いており、総務会長として安倍政権を支えてきた。今後は総裁に次ぐナンバー2として手腕を発揮する。
 就任にあたり「国内外に重要課題が山積する中での重責に、まさに身の引き締まる思い。国、郷土のため懸命の努力を誓う覚悟であります。幹事長として安倍総裁をサポートしながら、党員各位をはじめ、国民各界各層の意見に耳を傾けて党運営を進めていきたいと考えています。また、これまで長年積み上げてきた公明党との信頼関係を堅持・発展させながら自公連立政権を党の立場からしっかりと支えていきます。あらゆる内外の国政課題に対して、とくに地方にとって重要な景気対策、国土強靭化、農林水産、中小企業、観光政策等の課題について着実に政策を実行し、ふるさと和歌山の皆さまの長年のご支援に応えます」と決意を新たにしている。党役員の共同記者会見では憲法改正について「野党との話し合いも大事で、慎重に対応していく」、安倍総裁の任期延長論には「検討に値するとの考えに変わりはない」などと質問に答えた。
 世耕氏は平成18年の第1次安倍内閣で首相補佐官として政権に入り、24年12月の第2次安倍内閣発足以降は現在まで内閣官房副長官。安倍首相の外遊等では常に記者の囲み取材を受ける首相のそばにぴったり寄り添い、その姿が「まるで背後霊みたい」と揶揄(やゆ)する声もあったが、それに対して本人も地元の国政報告会等の場で「私は総理の守護霊のつもりなんですが...」と笑いをとるなど、3年7カ月の官房副長官在任中に「首相の側近中の側近」というイメージが定着した。
 先月24日には日高地方の各市町後援会のメンバーらと懇談し、参院選後の安倍政権は「引き続き経済を最優先に、アベノミクスの果実を和歌山県など地方でも実感してもらえるよう、中小企業対策、TPPを見据えた農業改革などに全力で取り組む」と強調。そのトップの経済産業相としての入閣に、地元和歌山でも喜びと期待の声が多く聞かれる。
 鶴保氏は内閣府特命担当相(沖縄・北方対策担当)が内定。平成10年の参院選で当時選挙区史上最年少当選し、ことし7月には4選を果たした。これまで国交副大臣、参議院厚生労働委員長、参議院決算委員長など要職を歴任し、現在は自民党参議院政策審議会長を務めている。
 御坊市の柏木征夫市長は「二階先生の幹事長ご就任、世耕先生の経産大臣、鶴保先生の入閣内定と国政の重要ポストに就かれることは地元にとって大きな誇りであり、心からお祝い申し上げます。国政はもとより地方創生に一層の力添えをお願いします」とコメントしている。