日高町議会議員報酬等の特例に関する特別委員会(一松輝夫委員長)が15日に開かれ、議会活動を長期欠席した場合の議員報酬減額について協議。「住民の信頼の確保」などを目的に、県内初の条例化に向けておおむね合意した。ただ、議会活動や長期欠席の定義付けなどを十分に研究する必要があるとして、当初予定していた今議会での制定を見送り、引き続き内容を慎重に検討していく。
 現行の公職選挙法によると、議会の議員報酬については、減額や返納が寄付に当たる行為として禁じられている。ただ、全国的には独自に減額の条例を制定する議会があり、ことし2月には北九州市議会で2年4カ月にわたり長期欠席しながら報酬を受け取っている議員がいることが報道され、長期欠席の議員報酬のあり方が問題視されている。
 委員会には全委員とオブザーバーで議長が出席。一松委員長は、町職員休職の給与減額や奈良県斑鳩町議会の長期欠席に関する報酬減額条例などの参考資料を示しながら「日高町議会でも過去に2年間休んで報酬をもらっていた事例があり、町民から批判があった。私自身もどうなるか分からない身であり、長期欠席で報酬を受け取っていれば、町民の信頼は得られないだろう。条例があれば、議会にも批判がない」と趣旨を説明。他の委員からは「住民の議会に対する視線は厳しい。住民の期待に応えられる方法の一つとして提案するのは賛成」「議論しておくことは大事」などとして、議員報酬減額の趣旨に賛同した。
 ただ、「周辺にも例がなく慎重に検討すべき」「この条例があることによって、逆に長期欠席しても減額分を差し引いた報酬がもらえ、議員の立場でいられるという甘えが出ないか。報酬減額の割合など、妥当だと思える数字にするには時間がかかる」などの意見があった。さらに、法令で長期欠席の対象となる議会活動は本会議、臨時議会、委員会、全員協議会などとなっているが、「例えば入院中でも電話一つあれば議員活動もできる。議会活動の定義付けをきちんとしておくべき」のほか、「仮に報酬減額の対象日数を90日以上とする場合、89日休んで1日出てきて、また休んだらどうなるのか」などの意見も出された。また、中には「議員は町民から『4年間頑張れよ』と言われて当選してきた。一時入院しても、それを挽回して住民から理解を得られるような活動をすればいいのではないか」との指摘もあった。これらを受けて当面は6月議会に向けて調査、研究していくことになった。
 
斑鳩町議会の議員報酬減額条例では、「町議会の会議等を90日以上欠席したときは2割、180日以上は3割、365日以上は5割」と定め、ボーナスについても減額割合を設けている。刑事事件の被疑者または被告人として逮捕、拘留された場合の議員報酬支給停止も盛り込んでいる。