日高町商工会(山田理司会長)主催の講座「真田幸村から学ぶリーダーの資質と人間形成」は18日、日高町商工会館で開かれた。講師は㈱パスエイド代表取締役で淑徳大学非常勤講師、佐藤敏彦さん。NHK大河ドラマ「真田丸」で話題の戦国武将、真田幸村(信繁)の生き方を通じて、組織リーダーのあり方を考えた。
 佐藤さんは歴史に造詣が深く、大学では「歴史に学ぶシリーズ」の講義を行っている。今回の講演では、「家康の首を取る」という大きなビジョンを掲げ、大坂夏の陣で最期を迎えるまでブレることなく戦国の世を駆け抜けた幸村の生涯を解説した。10代の頃から武田家・上杉家・豊臣家の人質となっていた幸村は、マイナスに捉えられがちな「人質」という立場を逆に利用し、それぞれの家の人材から優れた点を吸収。上杉家では、家老の直江兼続にかわいがられた。「上杉家は直江でもっている」といわれることを憂えていた兼続は「参謀は大将を超えてはならない」との考えを持っており、その姿勢を学んだ幸村は、後年豊臣秀頼とのつながりを強くしていったとみられる。
 大坂冬の陣では、幸村は「秀頼を先頭に打って出ることが兵のモチベーションを上げる」と主張したが、淀君はそれを絶対に許さず、大坂城を無傷で守るため砦の「真田丸」を築いた。夏の陣で、家康本陣に攻め込んだが首を取ることはできず、息子に「秀頼様をお守りせよ」と命じ、松平忠直軍の西尾久作に「我が首を取って手柄にするがいい」と言って討たれたという。
 佐藤さんは、リーダーに必要な資質として、ビジョン・情熱・決断力・誠実・適応力・自己肯定感など10項目を挙げ、「変化に適切に対応するには、高所から見る鳥の目、足元を見る虫の目、流れを読む魚の目の『3つの目』が必要」とアドバイスした。講演後は質疑応答も行われ、若き日の幸村が学んだとされる武田家と、紀中・紀南を治めた湯川家のつながりについての質問もあった。