日高川町玄子、浄土宗法性山円通寺の豊嶋英雄住職(61)は、毎年恒例の寒行を行っている。
 寒の入りの1月6日(年によっては1月5日)から2月2日までの28日間、夜間に「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えながら歩く修行。27歳のころ「本来の僧の姿とは」と考えて始め、ことしで35年目。この間、体調がすぐれない日もあったが、一日も休むことなく続けている。
 網代笠に墨染の衣、手甲(てっこう)、頭陀袋(ずだぶくろ)を身に着け、伏鉦(ふせがね)を鳴らしながら周辺を歩く。毎日コースを変え、1回に3時間程度、距離にして約15㌔歩く。周辺住民にも親しまれており、中には手を合わせて願い事をしたり、浄財を渡されることも。毎年、集まった浄財は社会福祉協議会や団体、災害があった地域などに寄付している。
 35年間の寒行を通じ「年齢に関係なく多くの人が願い事などに来ますので、日本人が持つ信仰に対する考え方は失われていないように感じます」と話す。ことしの大寒の21日もいつもと同じ午後6時半に出発。土生や小熊方面を歩き、夜道に念仏の声と鐘の音を響かせた。